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FT-IR分析の基本と応用

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目次

FT-IR測定の基本

FT-IR測定とは

フーリエ変換赤外分光光度計…試料に赤外光を照射し、透過or反射した光を測定する分析手法の事です。

FT-IRで何がわかるの

有機物の構造解析や定量化が可能です。また、NMRやMS等の分析と組み合わせることで化合物同定をすることもできます(単体の使用では少し厳しい)

具体的には、反応率の算出や異物の同定に用いられることが多いです。

FT-IRのメリット

測定時間は条件にもよりますが、分析時間が5分程度だったりするので、比較的手軽な装置です。

FT-IRのデメリット

デメリット:連続した波長で観測されるので、ピークの帰属を行う必要があります。官能基によってはピーク波長が弱かったり、他の官能基の波長と重なって、解析が困難なことがあります。

主要装置メーカー

ThermoFisher(サーモフィッシャー)、PerkinElmer(パーキンエルマー)日本分光、島津製作所…等




FT-IRの原理

分子を構成する原子間の結合部分は伸縮します。この分子の結合部分は赤外光を吸収することで振動します。吸収する赤外光の波長は分子とその運動に依存=特性吸収体を持ちます。

赤外光を吸収する振動は「双極子モーメントの変化を伴う振動」です。

そのため、OH、NH、エステルなどの極性基を特に高感度で分析することが可能です。

分子の運動性なので、分子が密集していると分子の運動が制限されることは容易に想像できると思います。吸収波長のピーク変化や指紋領域の特徴的なピークにより、サンプルの構造解析に用いられることもあります。

FT-IR分析方法

透過と反射

FT-IRには測定光が大きく2種類と等価と反射があります。

  • 透過法
  • ATR法

透過法

ATR法

顕微IR

顕微鏡で実物を見ながらFT-IR測定を行う手法。

製品の異物等といったごく少量のサンプルの測定に向いている。

赤外線を試料に集光し、測定部位をアパーチャーで絞り、高感度半導体検出器で吸収光(透過または反射光)を検知します。

微小領域について、主に有機構造に関する情報が赤外吸収スペクトルとして簡便に得られます。

出典元: 顕微赤外分光分析(顕微IR) Micro InfraRed Spectrometer|分光分析(IR、ラマン、蛍光分光)|分析機器別分類|分析メニュー・事例|株式会社 三井化学分析センター

顕微IRは主に3種類。FT-IR+顕微鏡なのでシンプルでイメージしやすい。

  • 顕微反射法
  • 顕微ATR法(多重反射)
  • 顕微透過法

顕微透過法

サンプルを赤外線を透過する材料で挟み測定する手法。

  • KBrプレート法

FT-IR解析方法

解析する領域

  • 領域…官能基同定
  • 指紋領域…構造解析

指紋領域はその名の通り、分子の指紋を表しているような領域のため、例えば同じ物質(例:ポリエチレン)であっても、製造方法によって指紋領域の波形が変わるといった、化合物特融のスペクトルが観察される領域です。

得られるスペクトルは透過率スペクトルと吸光度スペクトルの2種類。

  • 吸光度スペクトル
  • 透過率スペクトル

差スペクトルを解析する場合は吸光度スペクトルで行う必要があります。

FT-IRスペクトルの帰属・解析方法

最近のFT-IRはライブラリと照らし合わせピークを帰属して解析してくれるものがあります。

ですが、型番が古かったりすると、ソフトウェアが対応していないこともありますし、ある程度のスペクトルの帰属を知っていた方が、スペクトルの結果を深く理解できて、単純な帰属以上の物質の情報をイメージできたりと便利です。

4000~1500cm-2のピークの帰属

4000~1500cm-2に現れるC,N,Oの特徴的なピークを帰属します。

OH基(ヒドロキシル基)、NH(アミン基)のピークが現れます。

分子間相互作用

どちらの官能基も水素結合を形成する可能性のある官能基です。

FT-IRは原子間の分子の振動で吸収される赤外線の波長と吸収量を分析する測定方法です。

すなわちOH基やNH基が別の分子と水素結合を形成している場合、その結合力により、分子振動にも制限がかかるのもイメージしやすいと思います。

そのため例えば、OH基やNH基が含まれている溶液で濃度条件を振った場合、濃度が濃くなるにしたがって、OH基やNH基のピークがシフトするため、トップピークの位置が変わったり、ピークがブロードすることがある。

 参考  ➢ 赤外・近赤外吸収スペクトルに おける分子間相互作用のとらえ方

FT-IR 参考文献

大学院の研究室で使用していたFT-IRの参考文献の中の1冊は「有機化合物のスペクトルによる同定法 (第8版)」です。

各官能基のピークの帰属の情報が載っています。

まとめ:FT-IRは有機化合物の同定や構造解析に有効な分析手法

FT-IRの基本についてのまとめでした。

 関連  ➢ USBメモリを使用しないダイレクトな測定データ移行

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